薩摩川内市が自衛隊に個人情報を提出 | ようこそ!かっちゃんげえへ

ようこそ!かっちゃんげえへ

「住民こそ主人公」なのだ

薩摩川内市が自衛隊に個人情報を提出

19年度1660件

 地方自治体の自衛隊への個人情報提供が問題になっていますが、薩摩川内市は今年も自衛隊鹿児島地方本部長から募集対象者情報の提出依頼を受けて高卒、大卒の年齢に達する男女の氏名、住所、性別、生年月日の個人情報(4情報)1660件を提出しました。

 

 提出したのは1997年4月2日から翌年4月1日までに生まれた男379人女315人合計694人と2001年4月2日から翌年4月1日までに生まれた男516人女450人合計966人の合わせて1660人の個人情報(4情報)です。
 鹿児島県自衛隊地方協力本部長から市が依頼を受けたのは1月22日、個人情報(4情報)を提出したのは4月17日です。
 薩摩川内市個人情報保護条例は、第10条で「利用目的以外の目的のために保有個人情報を当該実施機関内において利用し、又は当該実施機関以外の者に提供してはならない。」と目的外利用を固く禁じています。

 

若者情報提出の義務付けが憲法改定の理由に

 薩摩川内市のように4情報を紙媒体または電子媒体で提供している自治体は全国の自治体の35%(住民基本台帳の閲覧に応じている自治体は約55%、残りは小規模自治体で防衛省が依頼していない)にすぎません。
 2月10日、安倍首相は自民党大会で、都道府県の6割以上が隊員募集の協力を拒否しているとして、「憲法にしっかりと自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とう」と発言し、憲法改悪の理由にしています。
 安倍首相の発言の裏を返せば、薩摩川内市は憲法を改悪しないとできない個人情報の提供をおこなっていることにならないでしょうか。

 

(解説)個人情報提供はあくまで「依頼」

 

 自衛隊の自衛官募集事務は、目的外利用にあたります。市は、第10条の例外規定「ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。(1) 法令等の規定に基づくとき。」を根拠に個人情報提供を合理化しています。すなわち
 自衛隊法97条「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う」
 同法施行令120条「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」を例外規定の根拠にしています。
 しかし、03年4月23日衆議院・個人情報の保護に関する特別委員会において、宇田川政府参考人は「市長村長に対しまして適齢者情報の提供を依頼しているところでありまして、あくまで依頼でございます。」石破国務大臣(当時)も「市町村は法定受託事務としてこれを行っているわけでございます。私どもが依頼をしても、答える義務と言うのは必ずしもございません。」と答弁しており、あくまで依頼に過ぎず市長村長に答える義務がないことは確立した政府解釈です。